形成外科・美容外科・美容皮膚科の東京渋谷 たか子クリニック

たか子院長のコラム

はじめに

私が日々思っていること、伝えたいことを、私らしく、私の言葉で伝えたいと思い、コラムのページを設けました。
医療に関すること、美容に関すること、それ以外の日々の思いを書いてまいります。
コラムの内容は、よく、患者さんの治療中にお話している内容でもあります。

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No.007

2006.11.04

「専門医」

私の専門は「形成外科」です。
形成外科というのは「表面」の外科ですから、形成外科医にとって「皮膚」はまさしく「お皮膚様」といった存在です。それが高じて「どうすれば皮膚が綺麗になるか」という興味から、ケミカルピールや光治療を勉強してきたわけです。
そして、その皮膚の治療は、アンチエイジングの一端を担っています。
アンチエイジングと言えば、今流行の分野ですが、これは専門的に言えば「内(内臓)からのアプローチ」と、「外(皮膚)からのアプローチ」があります。
私は自分の専門分野として、アンチエイジングの分野では「外(皮膚)からのアプローチ」に絞っています。
「私の専門分野は狭く深く!」とよく言っていますが、外からのアプローチを追いかけるだけで、十分に忙しいからです。内からのアプローチに関しては、それを一生懸命勉強している先生たちがいるので、その方々にお任せしています。
本来、「専門」とは、そういうものではないでしょうか。
極端な話、医師免許を手にしていれば、私が明日から「内科医」を名乗ろうが、「眼科医」を名乗ろうが問題はありません。しかし、それでは患者さんに本当に必要な技術を、知識を十分に満たして治療することが出来ません。
近年根付き始めた分野に、「一般医」という分野があります。
明らかな風邪症状だけで、大きな病院にいかなくても一般医で診て貰って、必要であれば専門にまわしましょう、という考え方です。これは、本当に高度な医療が必要な人にとって、非常に良い事だと思います。
しかし、アンチエイジングという分野においては、「一般医ではダメ」だと思います。
アンチエイジングに携わる医師は、より「専門的」で有るべきだと思います。それは、○○専門医とか○○認定医ということではなく、その医師がどれほどその分野に対して幅広い知識を持ち、且つ常に新しい事を勉強しているかという事だと思います。
ただし、「専門医」の肩書きがあれば、良いわけではありません。専門医とか認定医は、それぞれの学会が行う試験や条件を満たせば、習得出来ます。ただし、学会により研修期間などが異なるので、それぞれの「専門医」の看板がどれほどの意味を持つかも、実際は異なります。
その結果、専門医各人によって、大きな技術的な開きも出てきます。ですから、一概に「専門医であれば良い」とは言い切れません。
私は形成外科専門医でありながら、微小血管をつなぐマイクロ・サージェリーと言う技術を持ちませんし、他にも不得意な分野があります。
そういった技術が必要な患者さんに対しては、それらの専門の先生をご紹介しております。そうすることによって、自分の得意分野に全力投球しています。
これこそが、専門医としての正しい職分だと思っているからです。
私は毎年、1年間に5回は、勉強や講演のために海外へ出掛けています。講演先では、その国の先生方にお会いするので、その先生方から学ぶ事が沢山あります。「私の愛読書は、アメリカの医療雑誌」と言うぐらい、一通り目を通すようにしています。
そして、患者さんの治療に関する感想も、とても大切な情報源です。
「好きこそ物の上手なれ」と言いますが、私は皮膚に関することが大好きなので、仕事というよりも自分の興味の対象として、あくなき追求をしています。これが仕事のための勉強だったら、苦痛でしかないと思います。
あなたが治療したいと思ったとき、雑誌やHPなどで医師の経歴を見て、どの先生を選んだら良いか悩む方も多いと思います。
私からのアドバイスは、最終的には会ってみて、
(1)その先生と合うか、合わないか。
(2)質問に十分答えてくれるか。
(3)他の治療法との違いを説明してくれるか
この3つを判断材料にすると良いと思います。
私は、全ての人が専門職であるべきだとは思いません。ただ、仕事をする以上はその仕事に対してのプロ意識は必要だと思います。
私は、私のクリニックの看護師には、その職種に対して敬意を払うのと同時に、専門的知識・技術の習得することを望んでいますし、受付業務スタッフにはクリニックのスタッフとしてのプロ意識を望んでいます。
受付業務に於けるプロ意識とは、患者さんが快く過ごせる環境作り、医療事務の知識、医療の専門職が気付かない一般の人としての患者さんとの共感を私や看護師に伝えてくれる事などです。
医療以外の他業種でも、同じことだと思います。本当にそれを専門に追求して行ったら、一人では他に手を広げることは難しいでしょう。自分のその仕事での役割を考えて、その中で自分なりに役目を果たしてゆくことが大切ではないでしょうか?
久保田たか子のコラム No.007「専門医」。
2006.11.4記

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