形成外科・美容外科・美容皮膚科の東京渋谷 たか子クリニック

たか子院長のコラム

はじめに

私が日々思っていること、伝えたいことを、私らしく、私の言葉で伝えたいと思い、コラムのページを設けました。
医療に関すること、美容に関すること、それ以外の日々の思いを書いてまいります。
コラムの内容は、よく、患者さんの治療中にお話している内容でもあります。

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No.014

2007.03.14

「医療機器」

アメリカの皮膚科学会に参加しました。
この学会は、新しいレーザーの発表の場として知られています。
私は「新しいレーザーの情報を、少しでも早く知りたい」のと、「アメリカの美容皮膚科の傾向を知りたい」と言う理由で、よくこの学会に参加します。
「皮膚科」の学会なので、「形成外科医」の私には、「発表」よりも「各企業が展示する会場」の方が興味深いため、何時間もかけて丹念に一つ一つ見て行きます。
と言っても、非常に大きな会場に何百社もの企業が出展しているので、それをざっと流して見るだけでも、3~4時間は掛かります。
その後、本腰を入れて、興味のある企業に行き、説明をしてもらいます。
最近はLED(発光ダイオード)やレーザー、IPLなどの光治療機が、大小色々な会社から発売され、其々が「自分たちの製品が、如何に優れているか」をアピールします。
それらを、一つ一つフンフンと聞きつつ「じゃあ、何が一番良いのか」を考えました。
結局のところ、彼らは、長所を誇張している可能性はありますが、嘘は言っていないはずです。
だからと言って「全ての機械を購入する事は不可能だしなぁ…」と、頭を抱え込んでしまいました。
結局は、間違った機械を買わない限り「自分で選択した機械を、どのように使いこなすか」と言う事が、一番大切だという結論に至りました。
レーザーとか光治療機は、クリニック・レベルで買う医療機械の中では、かなり高額なものの範疇に入ります。失敗は許されません。
「その機械が何を出来るか」、それに対して「患者さんはどのくらいの価値観を持って、お金を支払ってまで治療をしてくれるか」を考えて、購入するか、否かを判断しなくてはいけません。
私は以前「リース契約」をしていましたが、現在はしていません。
それは、今から5年ほど前、ある会社の人に「うちの○○、ブームが長く続きましたねぇ、私は1年位かと思ったのですがね」と言われたのがきっかけでした。
私は、その○○を2年ほど前に購入し、あと3年リース契約が残っていたのです。
以来、自分の手持ちのお金で買えるものしか買わない、と言うのが私のポリシーになりました。
機械を買ったら、徹底的にその機械を理解するためにまずはモニター期間を設け、自分なりのプロトコール作りをします。
各々の機械の特性により、判断できるのに必要な期間が異なります。或る機械は、モニター期間が2年近く掛かりました。
世の中には理論武装されていても、理論通りに結果が導き出されない事もありますし、結果ありきで、理論がその後に付けられることもあります。それはそれで、驚きと共に心が躍ります。
会社から出されるプロトコールが必ずしも最適とは言い切れません。
自分でプロトコールを考えるだけでなく、他の先生の治療方法を勉強するために、セミナーに出席したり、親しい先生とメイルでやり取りをしたり、と自分なりの情報を集めます。
同じ機械であっても、使い方一つで、効果は異なります。
どうしたらより良い結果を導き出せるかを考えている時間が、私の至福の時です。
そして、自分で見つけた方法を、私と同じような考えの先生と情報交換をする時の楽しい事!すると、友達の先生も負けずと、色々教えてくれるのです。自分一人では考え出せないアイデアを得られる事はとても大切です。
タイタンとジェネシスの会社Cutera社がアメリカにおいて毎年行うユーザーズ・ミーティングは私が大好きなミーティングです。
ジェネシスやタイタンが大好きと心から思っている先生方が、時間制限を無視して、自分のやり方を熱く語り続けるのです。
私も毎回、「皆を驚かせる何か新しい物」を持って行き、「話す事」を自分に課しています。
そして他のスピーカーの先生の講義は、一番前に座って聞きます。
朝7時半からスタートして夕方6時過ぎまで、ひたすら皆で勉強をします。「お昼時間の短縮」、「終了時間の超過」は当たり前、と言う熱気です。
私も朝、ホテルの部屋を出てから夜まで、一度として部屋に戻る暇さえありません。
このユーザーズ・ミーティングで、誰もが認めるベスト・ドクターが、友人のブルース・ラッセル先生でした。現在、彼は身体を壊して欠席していますが、何時かは、彼と熱く「ジェネシス」について語りたいと思っています。
きっと世の中に色々良い機械が沢山有るでしょう。ただ、私はジェネシス、タイタン、ライム・ライトなどが大好きで、これを使いこなす事に情熱を傾けています。
これらに満足した時、これらの機械で出来ない治療を可能にする新たな機械に挑戦すると思います。
その時に、頼りになるのは、機械を使いこなす事を愛する友です。
久保田たか子のコラム No.014「医療機器」
2007.3.14

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